小さな組織はグレイトフル・デッドにマーケティングを学べ

小さな組織はグレイトフル・デッドにマーケティングを学べ

グレイトフル・デッドというバンドをご存知ですか?

彼らは1960年代にサンフランシスコで誕生したヒッピーカルチャーを象徴する伝説のバンドです。

レコード会社のような中間業者を排除し、消費者であるリスナーと直接つながることでビジネスを確立していきます。現在の「フリーミアム」や「シェア」などの概念を、1970年代ぐらいからすでに実践してたのです。

2011年に彼らの戦略をビジネスになぞらえた『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』という本が出版されました。監修と解説を手がけたのは糸井重里さん。糸井さんは彼らの戦略をひと言でこう表します。

「誰もがやりそうな戦略ではなく、違うことをやって価値を見出そう、ということ」

小さな組織が大きな仕事をつくる上で、私はこのグレイトフル・デッドのマーケティング戦略が活かせるのではないかと考え、今日はこのことについて書いてみます。

◎コンテンツはシェアする

通常ライブ時は録音禁止です。でも彼らはフリーにしました。録音したテープのファン同士の交換もOK。

するとどうなったか?

ファン同士のパワフルな口コミ網が広がり、リアルに「彼らに会いたい!」という欲求が高まって、ライブチケットがバカ売れ、人気のツアーバンドとしての地位を確立しました。

売りモノとしての既存コンテンツをフリーにして、あとから稼ぐ。まさにフリーミアム戦略!他社がやっていなければ、先んじてやってみる。その時点で優位性を担保できることになります。

◎新しいカテゴリをつくる

ロック、カントリー、オルタナティブ…。iTunesストアでもおなじみの音楽カテゴリ。グレイトフル・デッドは既存のカテゴリ分けを嫌いました。

彼らはどうしたか?

新しいカテゴリを自分たちでつくりました。

多様なジャンルの音楽を組み合わせて、即興スタイルの演奏で「ジャムバンド」というカテゴリが生まれました。彼らはファンを飽きさせないように毎晩のように演奏方法を変えたそうです。

会社でいえば事業内容。既存業界のなかで勝負していると価格競争でいずれ共だおしてしまいます。異業種とコラボして新しい事業をつくったほうがいい。顧客もこれまでにない価値を求めているのですから。

(※)もっとも小さな組織であればあるほど、だれもがSNSをあたり前に使っているのですから、事業内容をきっちり決めなくても、「◯◯さんの会社は◯◯が得意だ」とさえ周知できていれば、案外つながりのなかから仕事が生まれるもの。おかげさまで、私も仕事の8割は「弱いきずな」からうまれています

◎実験をくり返す

グレイトフル・デッドは全部で2300以上ものライブを行い、うち80%は即興演奏だったといいます。

ユニークなのは、ジャズのような一人一人が順番にリフを重ねていく演奏ではなく、メンバーがそれぞれ即興演奏しながら、グループとしても同時に即興演奏をするという離れワザを披露していました。

するとどうなったか?

ライブでは新しい楽器をためすものですから、本番で失敗することも多々…。それでも何度も試行をくり返して独自の演奏スタイルをつくりあげていきました。

ファンはなにも完成品を求めているのではなく、出来上がっていくプロセスそのものに価値を感じたというオチ。だから「ライブ代、返せー!」とは言わないわけですね。むしろドロ臭い彼らの姿が魅力的に映ったのかもしれません。

安易にマネるとかえってリスク

彼らの戦略を安易にマネると痛い目にあうことでしょう。マネるしても安易であってはいけない。また成功する確率が高いともいえない。amazonのレビュアーのひとりが、こんなコメントを残しています。

彼らのグレイトフル・デッドは著作権料をあてにしないという点において「逆張り」である。

「逆張り」は常に成功するとは限らない。本書は「逆張り」グレイトフル・デッドが今も売れ続けると言うが、「逆張り」ではない、ビートルズも、ローリング・ストーンズも売れ続けているのだから。

逆張りも徐々に“順張り”に

とはいいつつも、世の中の情勢や人々の価値観が変化するにつれて、逆張りも徐々に「順張り」になっていきます。

ここ数年の音楽界の動きとして、CDが売れなくなった分、ライブなどリアルイベントで稼ぐアーティストが増えてきました。従来モデルからの脱却と転換を迫られています。

永ちゃんこと、矢沢永吉さんも先んじて自前でCDを作ったり、権利関係も自分たちで管理しています。業界の既存の枠組みにとらわれないという意味では、グレイトフル・デッドに近しい収益モデルを採用しています。永ちゃんモデルは、『成りあがりマーケティング』が参考になります。

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で、どうすればいいか?

月並みですが、上に挙げたようないくつかの要素を徐々に取り入れて、ひたすら実験をくりかえす。検証しながら自社に適応させていく。ええ、とってもシンプルですね、理屈上は。

ただそのサイクルをまわしていくにも、組織が小さいほうが、意思決定する上でシガラミも少なくスピードと合理性をともなってよいというのが本記事での私の結論です。

組織が大きいと理屈すら通じませんからね。

ジャケ買いならぬ“装丁買い”

ブックデザインはあの気鋭のブックデザイナー祖父江慎さん。ジャケ買いならぬ“装丁買い”してしまいましたよ。4年前の本ですが、いまも売れ続けています。彼らの戦略は時流にそっています。だから今が買いなんです。

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(photo by Jeremy Moser / pinterest)

 



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