「自分の歴史的地域資産=マイヘリテージ」を活かして人生100年時代を生きる

ゾエ (Yuki Kawazoe) 
「自分の歴史的地域資産=マイヘリテージ」を活かして人生100年時代を生きる

(糸島市井原にある伊都国歴史博物館にて。「伊都学」などの講座も開講)

ユニークな視点の記事を目にしました。生活総研の山岸さんの記事です。

地域やまちの中には、ひっそりと佇みながらも存在感がある建造物が意外なほどある。景観に溶け込んではいるものの、知らず知らずのうちに地域のシンボルになっていたり住民の心の拠り所になっている。それらはすべて「歴史的地域資産」である。

表現を変えると「ヘリテージ(heritage)=未来に残すべき遺産」であり、これから人間の寿命も100年くらいに延びる長寿社会においては、人も歴史的地域資産になる時代になるのではないか?という考え方を示されています。

その上で私が強く共感したこと。

それは、「自分の歴史的地域資産=マイヘリテージ」があるとすればそれは何か?を把握し、将来に向けて保存・活用することが人生100年時代を豊かに生きるためのヒントになるのではないかということです。

この点について掘り下げてみます。

ヘリテージの6つの価値

山岸さんはまず、歴史的地域資産の活用・活性化を「ヘリテージ・マネージメント(HM)」と呼び、これらHMは6つの視点から価値づけることができると言います。

①〜⑥の( )内の文字は、人に置き換えた場合、具体的にその地域のどんな人が該当するかを例に挙げています。

歴史的価値・・・時間の経過によって加えられた価値、特別な由緒・由来がある(人に置き換えると、地元の名士や長老のような人)
地域的価値・・・地域の歴史と密接に関わってきた価値(地域発展の立役者的な人)
文化・芸術的価値・・・まちの成り立ちやくらし文化を物語り、意匠も優れている(老舗スナックの美人ママとか?)
環境的価値・・・特徴的な地域景観、ランドマークとしての役割(お祭り男のような人)
活用価値・・・文化・コミュニティ施設や商業施設・観光名所などの活用(観光ボランティアガイド、見守り活動隊)
思い入れ価値・・・地域住民の愛着があり、保存活動がなされたり、愛称で呼ばれている(地元で人気の○○おばあちゃん)

これら6つを「いらすとや」から素材をお借りしてビジュアル化してみました。

「自分の歴史的地域資産=マイヘリテージ」を活かして人生100年時代を生きる

 

感覚的にわかる気がしますが、こうやって言語化・分類化するとより理解がすすみますし、「ああ、◎◎さんなんかはまさに・・・!」とその人が地元で躍動する姿が思い浮かびます。

老舗スナックの名物ママ

たとえば、③のスナックのママ。

私は2015年に男性誌の『ブルータス』や『Hanako FOR MEN』が立て続けに特集を組んだあたりから、文化的価値としてそろそろ的が向けられてきたのかな?と、そんなニオイを感じていました。

スナックは人生酒場とも言われ、昔から人生と唄が行き交う日本の文化的象徴。

常連客らが長年通いつめ、彼らを魅了し続けるのもママが醸し出す人柄や包容力のなせる業。スナックが好きだから通うというよりも、ママに会いに行くという感覚でしょうか。

地学×歴史学=『ブラタモリ』

「自分の歴史的地域資産=マイヘリテージ」を活かして人生100年時代を生きる

(NHK総合 毎週土曜日 午後7:30〜8:15放送)

タレントのタモリさんが出演するNHKの『ブラタモリ』。

全国各地を訪れ、地元の専門家と一緒にタモさんが謎解きをしていく人気番組ですが、まさに「地学(地球物理学)」と「郷土史(歴史学)」を同時学習できるエンタメ教材と言っていい。

もういっそのこと学校教材にすればいいとさえ思っていますが、そんなタモさんのような地域の歴史に造形の深い地元民は、⑤に該当します。

わが街糸島市でも

ちなみに私が住む福岡県糸島市は、「魏志倭人伝」にその名が登場する「伊都国」があったと考えられ、遺物や遺跡が数多く見られる歴史ある地域です。地元の博物館なんかでも、歴史講座や遺跡をめぐるツアーが企画され好評をはくしています。

講師は権威のある方が多いようですが、「いとしま検定(2015年〜終了?)」のようなライトな符号だけでなく、たとえば地域コーディネーターガイド養成講座のような、もっと「ヘリテージ・マネージメント」の観点に即した人材を育成していくことに力を入れることで、タモさん的な地元民が増えていくことを願っています。

なぜなら遺物や遺跡は物理的に残り続けますが、人はそれよりも早くいなくなるからです。次なる伝承者がその地域の未来を支える一助になります。

「福岡路上遺産」を運営するY氏

福岡のちょっと変わった観光スポット・路上ネタを紹介するブログ「福岡路上遺産」。運営者であるY氏も⑤に該当しますね。

「福岡路上遺産」は “仲間最適化”メディアである

2017.02.02

報酬のデザインを考える

これから合理的に解釈できる仕事は、AIに取って変わられます。ゆえに自分の歴史的地域資産(マイヘリテージ)に価値を見出すという観点は、人生100年という長いスパンの中では、不確実な未来を生きていく上でのリスクヘッジにもなりえます。

ポイントとなるのは報酬です。

報酬のかたちは人それぞれ。仕事として金銭的な報酬を得てもよいでしょうし、ボランティアとして感謝されることによる非金銭的報酬でもよくて、その人がどうあれば豊かさや満足度を感じるのか?

ほかの仕事とも併せて、報酬のデザインをどこに持っていくのかも考えないといけません。そうでないと継続性もモチベーションも生まれてこないからです。

マイヘリテージャーを増やすと街の寿命も延びる

また「地域」という側面でも将来に向けて自治を維持・発展させてさせていく上でも、マイヘリテージを蓄積する個人を増やしていったほうがよいです。

これは以前投稿したのですが、すでにITやクリエイティブ産業に注力している福岡市が成功していることからも明らかなように、「ハイテク・文化・創造」の文脈がその街に根付くと、雇用が生まれやすく長期にわたり経済もうまく回っていくことが研究で明らかになっています。

それはなぜか?

むずかしい言葉であわらすと「経路依存性」がはたらくからです。つまり、街の未来は過去によって決まるということ。身近にたとえると、むかしから土地をもっている地主がなにもしなくてもチャリンと定期的にお金が入ってくるのと同じです。

よく「文化として根付いたら」「定着したら」と言いますが、数字でわりきれる合理的な工業系に比べたら、文化系には永続性が期待できます。

ゆえにマイヘリテージを貯めた個人が、地域遺産とともにみずからコンテンツとなって価値を広げていくことが、しいては街の寿命を延ばしていくための経路となると考えます。

というわけで私がもし糸島市長ならば、「ご当地検定」は一過性で終わらせずあくまでフックという位置づけにして、戦略的にタモさんのようなマイヘリテージャーを増やしていく施策を打ち出します。

 

(↓)これすごく面白いです。移住を考えている方のヒントにも。



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